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C&C ひきこもりオンラインハンドブック 概説記事04
「責任」というキーワードで見る「ひきこもり問題」

ひきこもり問題において「責任」はさまざまなテーマと関連する鍵概念となっています。C&Cのひきこもりオンラインハンドブックでも、「責任」の問題をめぐって、多くの記事を出してきました。ここでは、その議論の要点を紹介します。

 

第一に、そもそもひきこもり状態が、それ自体で問題となるのは、たいてい家族がひきこもり当事者の生存・生活の「責任」を、それが家族自身にとって心理的・経済的な負担になっているという意味で「過剰に」背負ってしまっている場合です。ひきこもり問題の解決とは、このような「親による責任の(過剰な)引き受け」を終わらせていくことです。その意味での「責任」の問題は、まさにひきこもり問題の本質そのものです。

 

第二に、そのような(一般に否定的に評価される)責任転嫁の状態を正当化するために、しばしばひきこもり当事者は「自分がひきこもりになったのは親の育て方等々のせいだ、だから親は自分を養う義務がある」という「親の責任追求」の言説を展開します。これはひきこもりを抱える親にとって大きな悩みの種となっています。

 

これに対する適切な対処は、ひきこもりの生活保障の責任という意味でも、ひきこもりを引き起こした原因となった責任という意味でも、客観的には、親の責任は限定的なものだと認識すること、その認識に基づいて、責任追及をされても、客観的に妥当な範囲の責任しか引き受けないことです。

 

第三に、このような「親の責任追求」や「親による責任の引き受け」が生じてしまうことの一つの背景として、日本の家族主義的な風土といったこともさることながら、ひきこもり当事者に多くみられるASDの特性が関係しているという事情があるとも考えられます。これまでのひきこもり家族コンサルティングでの相談経験からは、ASDが責任をめぐるコミュニケーションを苦手としているという事情が示唆されています。ASDは責任を引き受ける気がないのではなく、ただ責任について定型と同じように理解しコミュニケーションができないだけなのです。

 

第四に、「親による責任の引き受け」を終わらせていくというひきこもり問題の解決の方向性は、親のひきこもり当事者に対する働きかけにおいても、特定の形式を推奨するものとなります。具体的には、親は当事者に対して「説得」ではなく「説明・警告」を行うべきだという指針が出てくるのです。

 

第五に、「親による責任の引き受け」の解除は、では、誰がひきこもり当事者の生存・生活に責任を負うのかという問題へ通じます。もちろん、それは第一には本人です。しかし、本人が抱える各種事情により、本人が自らの生存・生活への責任を負いきれないという事態も想定されます。そこで責任を負うのは、生存権を保障するとの日本国憲法の規定がある以上、国であるはずです。このことからは、国が生存保障の責任をしっかり果たすべきであるということになります。

 

第六に、いま言及した本人が自らの生存・生活への責任を負いきれず、それをいわば免除されるという事態が典型的に想定されるのは、「障害」の場合です。困難なひきこもり事例の背後に多くASDが存在することから、ひきこもり問題の解決においては、実際に医師より障害の「診断」を受けるが重要な意味を持つことが多いのです。医師による診断は、社会的かつ客観的な事実の確定という効果を持ち、障害の様態・程度に応じて本人は一定の責任が免除されるとともに、社会に対して一定の支援と配慮を要求できるようになるのです。

 

以上から、ある種のひきこもりの事例について解決のモデルコースを想定することができます。それは、ご家族が過剰に引き受けているひきこもり当事者の生活維持の責任を手放すことに向けて、まず本人が責任をめぐるコミュニケーションを苦手としていることを想定しつつ、親は自らが過剰に責任を引き受けることになる働きかけを避け、また本人からの客観的に妥当でない責任追及も退けながら、本人に責任を返還していくことなのです。さらに、それに際して、あるいは、その先に、もし本人が責任を負いきれないような事情があるとすれば、医師による障害診断や国の定める社会福祉制度等の客観的根拠でもって、その責任を国へとさらに移転していくというプロセスなのです。

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以下は関連する記事へのリンク集です。より詳しく知りたい方はぜひリンク先をご覧ください。

 

会話のなかではASDが苦手とする能動的な責任分配が常に必要とされているという事情について

ASDが責任について苦手としているのはその分配と再分配である

ASDは責任コミュニケーションの何が具体的に苦手なのか 能動的な責任分配

責任の引き受けを止めなければならない

ひきこもり当事者に親から責任を返していく際のポイント

ひきこもり問題で問題になっているのは生活保障の責任の所在であるということについて

責任概念が両義性を前提としていることについて

責任に対する心理的態度の三類型を理論化する

責任の明確化を求めていく交渉スタイル

ひきこもり当事者の責任の明確化に関する責任

ひきこもり本人に対して「責任の明確化」を求める

発達障害診断は責任分配を変化させ支援の前提となる

障害診断は責任を軽減させる ただその前提は具体的な事象の障害への包摂である

ひきこもりと「親の責任」の問題再考:両義性と一義性という立場から

ひきこもり当事者からの「親の責任追及」を免れるために親が果たしておくべき責任

ひきこもり問題解決の鍵である「自己決定論」はどのような点で「自己責任論」ではないのか

ひきこもりによる親の責任追求に対しては、客観的に不適切な行為のみ不適切性を認め謝罪するのが原則である

弱者に問題を押し付ける構造としての自己責任の論理を超えるには「不自由」の識別が重要だ

ひきこもりに「親の責任」を追求されたときの向き合い方 無視でも迎合でもなく

ひきこもりによる「親の責任追求」に対する向き合い方を考える

ひきこもりへの家族の責任は限定されている 家族の不安を和らげる考え方と生活保護という選択肢

ASDと定型の「責任分担」についての考え方の違い

ひきこもりは親が悪い?親のせい?親の責任?それは疑わしいし、責任追及という問題設定自体が有益ではない

 

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