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自閉スペクトラム症(以下ASD)の人と定型発達(以下定型)の人との間のミスコミュニケーションを主要なテーマにして色々な記事を掲載してきました。しかしミスコミュニケーションは、ASDの人と定型の人との間だけで生じる訳でありません。定型の人と定型の人の間でミスコミュニケーションが起こりうるということはもちろん、ASDの人とASDの人の間でミスコミュニケーションでも起こり得ます。
この点に注意することは重要です。というのも当事者の一方だけがASDであるとの診断を受けている場合に、定型の人とASDの人の間のミスコミュニケーションにばかり詳しいと、「ASD が関与しているミスコミュニケーションということはきっと他方が定型なのだろう」と誤って推定してしまうということがあるからです。
確かに、ASDの人とASDの人の間で問題が生じにくいという側面はあります。それはASDの人が定型の人よりも規範性が高く、ASDとASDの間では問題解決方法自体に共通性があるので、対立があったとしても速やかに解消されうるということが一応期待できるからです。その意味でASDの人とASDの人の関係性はコミュニケーションにおけるリスクが比較的小さいと言えるでしょう。
しかしながら、実際には、ASDの人にも様々な現れ方があります。それは定型の人をひとまとめにすることができないことと同じです。問題が起こりやすい一つパターンは、ASDの人とASDの人が対立している場合に一方または双方の側に定型の人が加わって集団的な争いになる場合です。このようなケースで問題が起きやすいのは、当事者のASD自身が紛争の当事者性を見失って、定型である第三者のサポートに対して十分に協力しない、当事者意識を持っていないように支援者に見えてしまうということがありうるからです。こういった場合に争いを上手く整理していくことは至難の技です。特に家族間の争いでこのような問題が生じやすいと言えます。家族間の振る舞いにおける規範は必ずしも明文化されておらず、ASDの人にとって学習が困難であることも関係しています。
どのようなケースであっても最初から状況をしっかり分析して適切な対応をすることが重要であると言えるでしょう。ASDの人とASDの人が争っている場合に、定型の第三者が状況を分析することは極めて難しいですが、実際に第三者が何らかのアクションを起こす前に慎重に検討する必要があることは常に同じです。
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「自閉スペクトラム症の人は共感が苦手だ」と紹介されることがよくあります。しかし自閉スペクトラム症の共感能力というポイントについては、普通思われているよりも注意深く理解する必要があります。
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