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定型発達(以下定型)の人どうしの会話、特にお互いに定型である友人どうしの会話には、共通の関心について語り合う、盛り上がるということが含まれています。自閉スペクトラム症(以下ASD)の人と定型の人の間でも共通の関心について楽しく話すという場合はありますが、その細部は定型同士の場合と多少異なっているようです。
定型の人と定型の人が共通の関心を持って会話している場合、喜びは話されている話題から来るだけでなく、相手と関心を分かち合うことができたことからも来ています。つまり定型同士の会話においては、共同で何かをする(この場合は同じ関心について語る)ということに本質的な価値があり、何の話題であるかということはしばしばさほど重要視されていません。
対照的に、ASDの人と定型の人が共通の関心を持っている場合、少なくともASDの側では、関心のある事柄を話せることからのみ喜びが生じているように思われます。必ずしも相手と関心を分かち合うことに喜びの源泉がある訳ではないというところが、特徴的です。このような定型の人との微妙な違いが、会話している当の定型の人に感じられる場合もあります。いわゆる世間話は、事柄それ自体が重要という訳ではなく、相手と関心を分かち合う(少なくともそのふりをする)というタイプの会話です。ASDの人が世間話を苦手とするという特徴付けがありますが、それは本質的には関心を共有すること自体に関心がないという特徴に対応しています。
したがって、ASDの人と定型の人が世間話をしていると、関心の持ち方について定型の人の予測が外れてしまって、定型の人が戸惑う場合があります。話しているうちにASDの側で関心を持てない話題になるとASDの人が急に話を合わせようとしなくなることがあるからです。このような場合に定型の人はどうするべきでしょうか? 定型の側で戸惑いを無くすためには、自分が本当に関心を持っていることだけを話すことです。いわば自分もASDの人のように振る舞うことで相手方とのアンバランスを消去することがでます。
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