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自閉スペクトラム症(以下ASD)の人と定型発達(以下定型)の人が付き合い方の特殊なケースとして、ASDと思われる人がASDであるかどうか医師の診断を受けていないというものがあります。そういった場合に本当に問題になっていることは、(ASDと分かっている人ではなく)ASDと "思われる" 人と定型の人との関係である訳ですが、こういった関係についても考察して見ましょう。定型の側で相手がASDであるかどうか思い悩む際に定型の人が直面する一つの問題は、相手の特異性が性格によるものなのか、障害によるものなのか、という点について生じます。
ある人物がASDであるかどうかは、最終的には医師の診断によって確定する事実です。したがってこの記事でも対象の人物がASDであるかどうか判断する基準を提供しようとするものではありません。判断は究極的には専門家の手に委ねるべきことです。
しかしながら、注意喚起されるべきことが、性格と障害に関して存在します。それは障害に由来すると思われる事情について、医師の診断を受けた後でも、一つの性格として無理に解釈しようとするスタンスが広く見られるということです。そのような態度は、障害に対する偏見や差別(例えばASDなどの障害をただの「甘え」「言い訳」とみなす誤解)を考えると、十分に起こりうるものとして理解可能です。
しかし医師の診断が下された後でなお、客観的に障害に由来すると考えられることを無理に個人の性格のせいにして片付けることは、やはり問題のあるスタンスです。というのも障害に対してはそれに応じた適切な配慮が社会的に要請されてるのに対し、性格については(基本的には)特別な配慮が求められるものではないからです。特別な配慮が必要な場合に特別な配慮が与えられないと、それは不公正なことであると言えるでしょう。本人の特定の習慣や行動から観察できる特異性が障害によるものなのか性格によるものなのかは、慎重な考慮を必要とする事柄です。
ではどんな特異性もとりあえず何らかの障害に由来するとしておけば安全なのでしょうか? そうではありません。問題は逆の方向にも、つまり性格に基づく違いを何でも障害に結び付けて理解しようとする傾向にも存在しています。これは必ずしも当事者の近辺で生じる訳ではなく、直接的な問題を生じさせない場合もありますが、やはり望ましいことではありません。ASDという障害を誤ってありふれた現象として陳腐化し、本当に困っている人が困っている状況を(ASDという概念で)理解し捉えることを妨げてしまうからです。性格に関するありふれた現象までをもASDに結びつけてしまうと、「ASDとされる人たちは単に自分たちのまずい性格を障害の名目で言い訳しているだけだ」という誤解を惹起しかねません。
障害と性格の混同は、性格についての日常的な枠組みがかなり貧弱であることとも関係しているでしょう。日本で広まっている(専門的でない)性格類型は四種類から六種類程度の分類しかなく、我々が実際に出会うもっと多種多様な性格の特徴付けよりも肌理が粗いという難点があります。性格について公共的な理解を発展させていくことも、障害と性格の混同を避けるために有用と言えるでしょう。
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コミュニケーションに関する困った誤解があります。それはコミュニケーションが全くできていないにもかかわらず、コミュニケーションが上手くいっているという誤解をされる方がいらっしゃることです。そんなおかしなことがあるはずがないと思われますか? 実は自閉スペクトラム症(以下ASD)の人と定型発達(以下定型)の人が付き合っていく際の重要なポイントの一つは、コミュニケーションが上手くいっているのかどうかを双方(少なくとも一方)が適切に評価することができるかどうかです。
自閉スペクトラム症の人と定型発達の人が付き合っていく際の有名な工夫として、なるべくルールを作っていくというものがあります。日常生活の中で他の人と一緒に暮らしているとき、生活ルールを決めることがあります。ご家庭の中のルールが一番身近ですし、他のタイプの共同生活(例えば寮生活)でも必要に応じてルールを決めることがあると思います。そのようなルールが多い方が良いか少ない方が良いか、好みが分かれるかもしれません。しかしASDの人と定型の人との間では(好みによらず)ルールが多い方が上手くいくようです。これはなぜでしょうか?
身近な人が自分の話に共感してくれない、という悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?
いつも「なぜ共感してくれないの!」と思ってイライラしたり悲しくなったりしてしまっていませんか?いつもそういったことを繰り返していては心の健康を損なってしまいます。どうしたら良いでしょうか?
「自閉スペクトラム症の人は共感が苦手だ」と紹介されることがよくあります。しかし自閉スペクトラム症の共感能力というポイントについては、普通思われているよりも注意深く理解する必要があります。
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