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ひきこもりオンラインハンドブック
ASDと定型の「責任分担」についての考え方の違い
(自閉スペクトラム症の人と定型発達の人との付き合い方

ASDと定型では
責任分担についての
考え方が異なっています

昨日
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自閉スペクトラム症(以下ASD)の人と定型発達(以下定型)の人の違いの一つは、人間関係についての把握の仕方にあります。この記事では、ASDの人と定型の人が異なった仕方で人間関係を捉えることを説明するモデルについて解説します。そして、そのモデルを踏まえた場合の、ASDの人と定型の人との付き合い方を提案します。

 

人間関係についてASDの人と定型の人は、責任者が一人に決まっていない事柄(いわば「余白」の事柄)に関する対処の仕方が異なります。ASDの人はそうした余白については、誰の責任でもないと考えます。一人ひとりが管理して責任を持つ範囲や領域が割り当てられており、その中に入っていないことについては誰でも無関心である(べき)だという見方になります。このような見方に立つと、人間関係で問題になるのは特定の事柄が誰の責任範囲に入っているかということになります。ある事柄について誰が責任者なのかということを決める必要があるものの、一旦責任者が決まったら後は責任を負っている人が何とかするというモデルです。ある事柄について関わる人は基本的に、高々一人になります。

 

他方で、定型の人は余白について、責任者がいないのではなく両方が責任者なのだと見ています。ASDの人と同じように一人ひとりが管理し支配する領域は決まっていますが、まだ余白の部分や、すでに決まった領域についても曖昧な部分については、双方が責任を持っていると考えます。だから、ある事柄について複数の人が共同して責任を負っているという事態を普通のことと見ます。このような見方に立つと、人間関係で問題になることは一人の責任者の決定だけではないことになります。もちろんあえてそのように問題を解決することもできますが、重層的に関心や興味を持っているという事態をそのままに維持していくことも可能であると見ています。

 

ASDの人と定型の人との間のミスコミュニケーションは、このような余白についての捉え方の相違が原因になっていると思われます。ASDの人と定型の人が何らかの密接な関係性に入った場合に、ASDの人は両者の関係を余白のないものとして理解しています。つまり両者は責任の分配に関して話し合いやり取りする必要はあるのですが、一旦役割が分割された後は没交渉になる(べき)であると考えているということです。これに対して、定型の人が両者の関係を、それぞれの責任領域と共同責任領域との二層として理解していると問題が起きる場合があります。定型の人がそのように考えていると、共通の管理領域に対する共同の配慮に関して両者がコミュニケーションする必要があるということが定型の人にとってのみ真実になります。そのような一方的なスタンスに基づいてASDの人と話し合おうとすると、ASDの側は定型の人が何を話しているのか理解できない場合があります。定型の人からは、ASDの人の態度が無関心または冷淡または忘恩に見え、非常に強い悲しみと怒りが生じてしまう場合があります。逆にASDの人からすると、一旦相手だけに割り当てられた責任を自分にも負わせようとしているものと映るかもしれません。不幸なすれ違いです。

 

このようなすれ違いを避けるためには、定型の側でも人間関係を一層として見る訓練をするということが最適です。具体的には、責任者を決めて後は干渉しないというルールを生活や仕事のあらゆる場面で徹底することです。定型の人にとってはそのような運用は人為的に感じられ、実践することに難しさを感じる人も多いと思われます。しかし結局はそのような対応が賢い対応であるということを学習する負担を定型の側が引き受けざるを得ないと思われます。ASDの人と定型の人との間で問題が生じている場合は、定型の人がASDの人に(適切に)合わせることをお勧め致します。

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