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ひきこもりオンラインハンドブック
保護者、支援者、そして教育者
自立を諦めている人との関わり方

相手がそもそも自立を志向していない場合、そうした考えをよりよい方へ
導く教育者の役割が求められます

 

他の記事でもお伝えしている通り、ひきこもり支援では保護者と支援者の二つのロールモデルを区別することが非常に重要です。さらにこの二つに加えて、さらに教育者モデルとでも言うべきものを区別することが役に立つかもしれません。この記事ではこの新しい教育者モデルについて説明したいと思います。

 

ひきこもり支援の基本は、保護者モデルではなく支援者モデルに設定されるべきであると思われます。成人の両親は成人に対して何ら特別な関係にある訳ではなく、未成年を保護するように成人を保護することは認められていないからです。公共的に認められていない枠組みで対人関係を構築しようとすると、それゆえにこそ社会的に孤立してしまいます。ひきこもり家族が孤立しないためには、まず当事者間の関係を上手く支援者モデルに移行させていくということが必要です。

 

しかしながら、支援者モデルでは足りないという場合もあります。支援者モデルは通常、支援される人が自立を目指しているということが前提になっているからです。しかし支援される側が極めて追い詰められていたりコミュニケーションが苦手であったりすると、人は疲弊や諦め等のゆえに必ずしも自立を志向していないように見える場合があります。そういった場合では支援者モデルが必ずしも成り立たないように見え、そのために保護者モデルへの回帰という問題が生じています。

 

教育者モデルが役割を果たすのはこうしたケースにおいてです。支援者モデルだけで問題が解決しない場合、つまり本人が自立を目指しているという建前が機能しない場合、支援されている人を教育する必要性が生まれます。ここでの教育はもちろん自立に向けられています。自立することを目指していないように見える人は、自立の必要性について自分の偏見や理屈に振り回されてしまっているおそれがあります。そういった混乱を一つ一つ解きほぐすことが周囲の人には必要とされています。

 

こういった場合は、支援者モデルのように、単に被支援者のニーズを受けとめて必要な支援を提供するだけでなく、客観的に見て妥当でないことを被支援者が主張する場合などには、より正しいと思われる方向に教え諭すことが必要になります。これは支援者モデルの枠組みに当てはまらないと思われますので、教育者モデルとして区別する方が適切でしょう。

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