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責任の所在が不明確になってしまうことがひきこもり問題の本質であるということを色々な記事の中で述べてきました。そもそも人によって責任の所在の明確化に関する責任についての心理的なスタンスが異なります。自分と相手のそういったスタンスを知らないことによって、大きな摩擦が発生しています。この記事では責任の所在に関する責任についての三つの心理的なタイプと、それらのタイプとひきこもり問題の関係、さらにタイプの違いを踏まえた対応方法について解説します。
責任の所在に関する責任について、人間の態度には大きく分けて三種類あります。自ら責任の所在が自分にあるということを積極的に言明していく(責任を明確化する責任を果たす)というタイプ、他人によって責任の所在があると特定された場合にその特定に従う(責任を追及されたときに責任を果たす)タイプ、他人から責任を帰属された際に突然怒り出すなど適切に応答しない(責任を追及されることに応答できない)タイプの三つになります。第一のタイプは責任感があると他人から評されるような問題の生じないタイプです。ひきこもりと関係があるのは残り二つのタイプです。
人から責任の所在を特定された場合に素直に従うというのは、(第三のタイプに比べて)協力的とはいえ消極的な受け身の態度であり、仕事や家庭での共同者として高い評価を受けることが難しいタイプです。このタイプの人は、言われたことはきちんと行うが、言われていないことは自ら積極的に取り組まないといった評価を受けることになります。リーダー的な能力の高い他人が共同作業に関わっていれば、こういったタイプの人に上手く役割を割り当ててくれることがあり、結果としてトラブルにつながりません。しかし他の共同者の責任感が高くない場合、責任の所在に関してトラブルになりうることがあります。第三のタイプは、そもそも責任に関する真っ当なコミュニケーションができないというタイプです。このようなタイプの人とは事実上、責任に関してやり取りすることは諦める方が良いでしょう。
さて、普通の人もひきこもりも、これらの特定の一つのタイプに分類されるというよりは、複数のタイプを併せ持っているというのが実情です。普通の人は第一のタイプと第二のタイプを併せ持っています。それなりにリーダーシップのあるひとは前者の割合が高い人です。他方で、ひきこもりは第二と第三のタイプの複合として上手く捉えられると思います。このようなひきこもり観が、ひきこもりに対する正しい対応を導き出します。第三のタイプであれば責任に関するコミュニケーションは一切できない訳ですから、相手がどういう条件の下で第二タイプに分類されるような言動をとるのかを観察し、そのような条件を揃えるというのが正しい対応方法です。
この類型からさらに複雑なポイントを引き出すことができます。しばしば第一のタイプと第三のタイプだけが意識され、第二のタイプが忘れられてしまうという現象があります。これは普通の人が第一のタイプを多少なりとも備えているため、トラブルが生じて追い詰められると人は第一のタイプに分類されるような言動を発現させて問題を解決するものであるという人間観を持つことが一般的であり、責任に関して第二のタイプの相手と共同作業に取り組んでいる場合でも必ずしも自分自身が第一のタイプに当てはまるようなリーダーシップをとる必要性が高くないと誤認しがちであるからです。そこで普通の人は相手方のリーダーシップを単純に待つということをやってしまいがちです。
しかしながら、ひきこもりの中には、第一のタイプに関する責任の所在の明確化を全く行うことができない人も存在します。関係者の努力が必要になるのはその点からであり、上で述べた通り、関係者は何とかして第二のタイプの言動に相手方が留まり続けるような条件の下で本人とやり取りしなければなりません。しかしそれは第一のタイプと第三のタイプの他に、第二のタイプ、つまり周囲の人のリーダーシップに従うというタイプ、を意識し続けないと上手く行きません。ひきこもり問題を改善していくには、このように責任の所在に関する責任についての心理的タイプに自覚的になっていく必要があると思われます。
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