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自閉スペクトラム症(以下ASD)の人が苦手としていることの一つに、適切に相槌を打つことがあります。ASDの人が相槌を打つことが全くできないという訳ではありませんが、頻度が少なかったり機械的であったりします。相槌を打たれることに慣れている定型発達(以下定型)の人は、ASDの人が相槌を打ってくれないことから話しづらさを感じてしまうことがあります。そもそもASDの人がなぜ相槌が少ないのかという事情を、この記事で解説したいと思います。
相手の話の内容に賛成している場合に、我々は同意しているとか賛成しているとかいったことを言語的にまたは非言語的に表現しようとします。逆に、同意していなかったり反対したりしている場合は、それを表現しようとします。このような話の中身に対するリアクションは、ASDの人にとって何ら不得意とすることではありません。では、ASDの人が苦手な相槌とは何なのでしょうか?
相槌は、相手の話の内容に同意するものではありません。相槌は、相手がその時にその場所でそのことを話していることに対する肯定を表しています。つまり相手がTPOにかなった振る舞いをしていることに対する肯定、相手が何かを伝えようとしているという事実への肯定なのです。だから相槌をしつつ後で話の中身に反対するということも可能です。確かに話の中身に賛成しているのか、相手が話しているという行為に賛成しているのかは、実際には一緒になっている場合が少なくないでしょう。したがってASDの人でも相槌を打っているように見えることの方が多いかもしれません。しかしよく観察してみると、ASDの人は話の中身に反応しているのであって、相手(定型)が話しているという事実に対して同意している訳ではありません。
このようなASDの人(と定型の人)の振る舞いの特徴は、ASDと定型の差異に由来すると思われます。両者を比較すると、定型の人は相手との人間関係自体をより重視し、話されている事柄の中身はより軽視する傾向があります。逆に、ASDの人は相手との人間関係よりも話されている事柄の中身をより重視する傾向があります。だから、定型の人はASDの人が相槌を打っていないとASDの人が反対しているのではないかと感じますし、逆にASDの人は相槌を打たないことによって定型の人に知らず知らず否定的なメッセージを出してしまっているということに気付いていない、ということがありえます。ASDの人と定型の人で会話する場合は、相槌に関するスタイルの違いを押さえておくことが重要です。
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身近な人が自分の話に共感してくれない、という悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?
いつも「なぜ共感してくれないの!」と思ってイライラしたり悲しくなったりしてしまっていませんか?いつもそういったことを繰り返していては心の健康を損なってしまいます。どうしたら良いでしょうか?
「自閉スペクトラム症の人は共感が苦手だ」と紹介されることがよくあります。しかし自閉スペクトラム症の共感能力というポイントについては、普通思われているよりも注意深く理解する必要があります。
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