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ひきこもり問題を解決していくには、ご家族が重要な役割を担っています。C&Cのひきこもりオンラインハンドブックでも、ご家族がひきこもり当事者に働きかけることについて多くのアドバイスを提供してきました。「責任」の問題をめぐって、多くの記事を出してきました。ここでは、その議論の要点を紹介します。
ひきこもり事態において何らかの改善を図るためには、家族から本人への何らかの働きかけが必要になると思われます。ひきこもり事態は、周囲の人々が放置することによって改善することはほとんどありません。それは、ひきこもり事態には構造的な原因があり、本人のやる気の問題ではないと考えられるからです。しかし、家族の側から本人にどのように関わっていけば良いのでしょうか。
ひきこもり本人と家族との間に全くコミュニケーションがないというケースばかりではありません。本人と家族がいつも噛み合わない言葉のやり取りをしているというケースもあります。そういった場合には、家族の側で少し言葉の使い方を工夫することで、生産的なやり取りをするということが可能です。
家族の側でまず区別すべきなのは、説明(警告)と説得の二つです。本人が成人している場合に話を限ると、本人には自己決定権があるので、親であっても本人の人生に介入することにはかなり低いところに限界があります。常識的には見過ごされている介入であっても、そもそも日本社会で公的に認められる他人への介入は、かなり限られています。そういった標準的な介入レベルよりも、ひきこもりの場合は、さらに低いところに介入の限界が設定されるべきです。具体的には、説得を目指すべきではありません。
ひきこもり本人を説得しようとすると、説得の対象となる特定のライフスタイルについて親の側で責任を負ってしまうということになりがちです。しかし、まさに親が成人した子供の人生に責任を負ってしまうということがひきこもり問題の本質なので、説得はひきこもり問題においては本末転倒であると言えます。
他方で、これは親の側で全く子供の側に働きかけないということを意味しません。親の側から説明や警告を子供に対して与えるということは、むしろ望ましい期待されている事柄であると言えると思われます。説明や警告が説得と異なるのは、そこでは親の側が特定の意思決定にコミットしていないということです。そのようなコミットメントから責任が生じてしまうので、コミットメントを避けた仕方での関与であれば良い、ということなのです。
全くコミュニケーションが存在しないという場合は、新しく家族の側から話し出すということには勇気がいります。大抵の場合は、過去のある時点で決定的な断絶があり、それから話さなくなってしまったというケースであると思われます。したがって、最後にやり取りがあった時に生じていた問題を振り返りつつ、新しいアプローチを試してみるということになると思われます。
以上のことは、親の側のスタンスとして、保護者ではなく支援者になるということを目指すということに合致しています。子供が成人している以上、親は最早子供の保護者ではありません。それにもかかわらず親が子供の保護者になってしまうということが、まさにひきこもり状態であると言えます。親は子供の保護者を止めるべきであり、しかしそれは親が子供と絶縁するという(それは多くの親が望んでいません)ことではなく、適切な限度で親が子供の支援者となるということです。
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以下は関連する記事へのリンク集です。より詳しく知りたい方はぜひリンク先をご覧ください。
ひきこもり問題に対応するご家族の姿勢の大原則 「保護者ではなく支援者になること」
成人ひきこもりの「支援」は支援を拒む自由を前提する(保護者と支援者2)
ひきこもり問題の解決にあたり、価値観の説得ではなく、世界観の説明を重視するべき理由
説得と説明を区別する:ひきこもり問題への親の対処は説得でなく説明中心となるべき理由
自分の思考や行為を相手の出方に依存させないことで心理的な安定が得られることについて
心理的ストレスを軽減するためには「コミュニケーション的依存性」を除去するべきである
コミュニケーション的依存を減らし心理的ストレスを減らすには「交渉」でも「仕返し」でもなく「正義」を貫徹せよ
助言と自律性 ひきこもり支援において、なぜ助言という関わり方が重要なのか?
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