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「そんな可能性は "ない"」は本当に "ない"?—可能性と蓋然性を区別してASDと定型のミスコミュニケーションを回避する方法

あるか無しかの「可能性」、高いか低いかの「蓋然性」

自閉スペクトラム症(以下ASD)の方と定型発達の方との間のミスコミュニケーション(コミュニケーションの失敗)には、いくつかのパターンがあります。毎回毎回違うことでトラブルになっていると思っていませんか? 注意して分析すると同じパターンの問題だったということはよくあります。パターンを認識するのは重要です。ミスコミュニケーションのパターンを知っておくだけでも同じ問題が再発するリスクを減らすことができるからです。この記事では、ASDの方と定型発達の方のミスコミュニケーションの一つのパターンをご紹介します。それは可能性と蓋然性にまつわるASDと定型発達との間の理解の違いによるものです。

 

私たちは未来の出来事について予測を立てるということがあります。例えば、明日何らかの重要人物に会うときに良い印象を相手に残せるだろうか、と思案することがあると思います。もし面会の際に相手方に否定的なことを言われるという可能性に思い至ったらネガティブな気持ちになってしまうかもしれません。そのときに自分を奮い立たせるためにどうしますか? 定型発達の方は「その可能性は無い」と自分に向かって言うということがありうると思います。恐れている出来事が生じる可能性が無いのであれば恐れる必要も無くなるからです。ですが「その可能性は無い」と言う場合に、本当に特定の出来事が生じる可能性がゼロであるということを確信しているのでしょうか。おそらくそうではないでしょう。本当にその人が言おうとしていたことは「その可能性は低い」ということでしょう。するとここには誤解の種がある訳です。定型発達の方は可能性がゼロであるということを言おうとしている訳では無いのに、文字通りに取るとそのようなことを主張しているように聞こえてしまうからです。ですがなぜそもそも「可能性は低い」ではなく「可能性は無い」と言ってしまったのでしょうか?

 

ここで蓋然性という別の言葉を導入してみましょう。蓋然性とは何かが起こりそうな度合いのこと、その度合が一定以上あることを意味します。可能性が高いことを「蓋然性がある」と言い、可能性が低いことを「蓋然性がない」と言うことができます。蓋然性は可能性とだいたい同じ意味を持ちますが、可能性は高い低いではなくある無しで語られるという点が異なります。この蓋然性という言葉を使って上の話をもう一度整理し直してみましょう。定型発達の方は未来の出来事について「可能性は低い」という意味で「可能性は無い」と言っていました。蓋然性という言葉を使うと誤解のリスクなく意思疎通することができるようになります。

 

定型発達の方は本当は「蓋然性は無い」と言うべきだったのです(「可能性は無い」ではなく)。普段の会話でも「そんなこと(そんな可能性)はない」ということを「そんな蓋然性はない」という意味で使う人が多くいらっしゃいます。このような可能性と蓋然性に関する言葉遣いが、多くのすれ違いを誘発しています。ミスコミュニケーションが生まれる具体的な展開は、次のようなものです。AさんもBさんも特定の事象が生じる可能性があるがその可能性は低いと思っている、というケースを考えてみましょう。AさんとBさんがその特定の事象について話し合っていることを想像してください。Aさんが「蓋然性が無い」と言うべきところで「可能性が無い」と言ってしまい、それを聞いたBさんが「いや可能性はある」と答えると、Aさんは〈Bさんは蓋然性があると言っているな〉と思って「いや可能性はない」と答える。そうするとBさんは〈Aさんは可能性がないと言っているな〉と文字通り受け取って「いや可能性はある」と答える… このようなやり取りがミスコミュニケーションであるということは明らかです。AさんとBさんの間には本当の対立はないからです。もしAさんが蓋然性と可能性を区別して話していたら、またはもしBさんの方が相手が話しているのは(可能性ではなく)蓋然性のことだと気付くことができたら、ミスコミュニケーションは回避できます。しかしどちらかの条件が満たされなければ、ずっと誤解したままということもあり得ない訳ではありません。

 

この話がASDの方と定型発達の方のミスコミュニケーションとどのように関係するのでしょうか? 実は定型発達の方は上のAさんのような立場に、ASDの方はBさんのような立場になってしまうことが多いのです。つまり定型発達の方は蓋然性の意味で可能性という言葉を使ってしまい、ASDの方は相手が蓋然性の話をしているということに気がつかないということが多いです。もちろん逆のパターンもあります。ASDの方が可能性の話をしているのに、定型発達の方がそれを蓋然性の話として受け取ってしまうということがあります。

 

このような言葉遣いの違いとそれに伴う誤解が生じるのは、ASDの方と定型発達の方では関心の所在が違う傾向にあるからです。ASDの方は可能性に関心があります。他方で定型発達の方は蓋然性に関心があります。ASDの方と定型発達の方の相互誤解は、まず相手が自分と同じ関心を持っていると信じることが生じています。

 

定型発達の方は蓋然性に関心があります。というのも定型発達の方には可能性が低いことは単純に無視するというバイアスがあるからです。だからこそ定型発達の方は、相手が蓋然性ではなく可能性にフォーカスしているということが信じられません。自分のバイアスを目の前の相手も当然に共有していると思い込んでいるからです。だからこそ蓋然性と可能性の言葉遣いの混同も生まれます。定型発達の方にとっては単に可能性のことだけを語ることに意味が見出されないことから、可能性という言葉自体の主な用途が蓋然性の同義語になってしまいます。蓋然性のある無しを意味するために可能性のある無しという言葉を流用してしまう訳です。

 

逆にASDの方は可能性に、少なくとも可能性に "も" 相応の関心があります。ASDの方は定型発達の方が低い可能性を無視しているということに気がつきません。そもそも蓋然性の有無にだけ集中するという傾向性を自分が持っていないからです。いわばASDの方は定型発達の方よりも客観的で正確な語り方をする傾向にあると言えるでしょう。

 

既に述べた通り、蓋然性と可能性を区別することで、ASDの方と定型発達の方のこのタイプのミスコミュニケーションは回避することができます。定型発達の方は、蓋然性と可能性を区別した言葉遣いをしましょう。ASDの方は、可能性が低い(=蓋然性が無い)場合に「可能性が無い」と語る傾向がある人々(マジョリティ)がいることに気付き、相手が言っていることを文字通りに受け取らずに翻訳するということが必要になります。こうすれば無用な争いの一つを未然に防ぐことができます。

 

ひきこもり家族コンサルティングでは、ASDの方と定型発達の方のミスコミュニケーションを解消するお手伝いをしています。周囲の人とのコミュニケーションに悩んでいる場合、このタイプや他の種類のミスコミュニケーションが存在しているかもしれません。ひきこもり家族コンサルティングはミスコミュニケーションを分析してクライアントの方にアドバイスを提供する(日本有数の)専門家集団です。コミュニケーションに問題を感じたら、ぜひ当相談室をお訪ねください。

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