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ひきこもりオンラインハンドブック
ASDは「細かいことにこだわり」「支離滅裂」だという見方が間違っている理由 二つの整合性を区別する
(自閉スペクトラム症の人と定型発達の人の付き合い方②)

自分と相手が重視する「整合性」の違いを理解するのが重要です

自閉スペクトラム症(以下ASD)の人と定型発達の人のミスコミュニケーションは色々なポイントで発生します。この記事はASDの人と定型発達の人の摩擦原因のポイントの一つを取り上げて解説します。そのポイントは整合性にかかわるものです。

 

整合性という言葉を聞いたことがないという方はいないでしょう。しかし確かに普段あまり使わない言葉ではあります。「辻褄(つじつま)」といった言葉の方がより日常的に使われていると思われます。誰かに対して「それは辻褄が合わない」と言ったり思ったりすることは誰しもあると思います。

 

実はASDの人に対して定型発達の人が抱く不満の一つのタイプは「この人は言っていることが滅茶苦茶で辻褄が合っていないなあ」や「言っていることがコロコロ変わる人だなあ」という形を取ります。このような不満が類型的に出現することからすれば、何か背景があるはずです。なぜ定型発達の人はASDの人に対してこのような不満を繰り返し抱くのでしょうか?

 

それはASDの人と定型発達の人では、整合性を判定する範囲が異なるからです。言い換えれば、どれくらい広い範囲の事実の間で辻褄を合わせようとするかが異なるのです。ASDの人が判定している整合性は(大まかには)論理的な整合性と呼ぶべきものです。例えば、ある行為Aと別の行為Bが論理的に矛盾しているかいないか検討することを考えてみましょう。ここで行為Aが特定の事実Cが存在することを前提したものであるのに対して、行為Bが同じ特定の事実Cが存在しないことを前提としたものであったらどうでしょうか「行為Aと行為Bを同時に実践することは矛盾している!」と言いたくなるでしょう。例えばもしあなたが、お金に余裕がある(C)からテレビを買いに行く(A)と言っている知人をお茶に誘ったところ、お金に余裕がない(C の否定)から今回は止めておく(B)と言って断られたら、きっと「矛盾だ」と思うはずです)。このタイプの整合性を判定することはASDの人の得意とするところです。

 

問題は、定型発達の人がASDの人よりもずっと広い範囲の整合性に関心を持ち、かつ重視しているということです。残念なことに、そのような定型発達の人の好むタイプの整合性を明確に「こういうものだ」と整理することには難しさがあります。なぜならそこには、論理的整合性だけではなく常識、慣習、他人の気持ちなどといった種々の捉えがたい事情との整合性が含まれてくるからです。しかしながら、ともかく定型発達の人が重視する整合性というものが存在するのは確かです。定型発達の人のほとんどは上で紹介したような論理的な整合性だけを気にすることに限界を感じたり嫌ったりするからです。そこで定型発達の人の好む整合性を正確に定義するのは避けて、ただ大局的整合性とだけ呼んでおくことにしましょう。これと比較するとASDの人の好む整合性はより狭い範囲の整合性ですので、局所的整合性と呼んでおきましょう。

 

そうすると、ASDの人と定型発達の人の間のミスコミュニケーションを局所的整合性と大局的整合性という二つの基準の衝突として描写することができるようになります。ASDの人は局所的整合性には気を配るのですが、大局的整合性は無視する傾向があります。それは定型発達の人から見れば、細かいことにこだわっているように見えてしまいます。あるいは断片的であるという印象を得ることもあります。ASDの人によって語られる様々なストーリーは(定型発達の人から見て)局所的に整合的なだけで大局的には整合的でないということがよくあります。だからコロコロ変わるまたは支離滅裂という印象を持つ訳です。もっと悪いことに、比較的慎重な定型発達の人は、ASDの人の重視している局所整合性に合わせて大局的整合性を保つような残りのストーリーを作り出してしまうということです。つまり本当は断片的にのみ存在しているストーリーを拡張して巨大なストーリーに定型発達の側が(勝手に)作り変えてしまうという問題があります。

 

どうやってこのような衝突や誤解を避けたら良いでしょうか? 定型発達の側がASDの人の話に粘り強く耳を傾けるということが必要になります。大局的整合性がないと思っても定型発達の側から大局的整合性の欠如を攻撃するべきではありません。それは相手が関心を持っていないことなので、大局的整合性における欠点を指摘しても効果をあげられずに終わってしまうからです。なるべく局所的整合性を手がかりにして対話していきましょう。他方で、ASDの人の話に引きずられて大局的整合性を見失わないようにすることも大事です。ASDの人の話は局所的整合性が強いため、それに合わせて残りの部分を勝手に推測するとASDの人の思っていること考えていることを誤解するリスクが高まります。むしろ大局的整合性の欠如を意識しつつ相手方にそれを指摘しないという度量が定型発達の側に求められます。

 

局所的整合性をチェックするということも人間にとって重要になる局面もあります。定型発達の人は局所的整合性が関係する事象に関してはASDの人を長所として捉えることができます。定型発達の人は大局的整合性が欠如していることをいたずらに批判せず、ASDの人が得意とするところをASDの人に任せるといった形でASDの人と協力していくことを心がけましょう。

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