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自閉スペクトラム症(以下ASD)の人と定型発達(以下定型)の人がやり取りをしていて、定型の人が違和感を持つ典型的なパターンはいくつかあります。大局的な整合性の欠落のために、定型の人がASDの人に対して違和感を持つということは、他の記事の中で解説しました。大局的な整合性の欠落が定型の人にとって気になる場面として、保守的/リベラルとまとめられるような価値観のパッケージにかかわる違和感があります。この記事では価値観に関係する違和感に絞って、ASDの人に対して定型の人が抱きやすい違和感を解説していきます。
保守的/リベラルと呼ばれるような価値観は、社会的に一応是認されている生き方のパターンがそれぞれパッケージ化されたものになっています。例えば「夫は仕事、妻は家事」といった固定的な性別役割分担を重視する立場のことを保守的な価値観と呼ぶこと(批判すること)があります。こういった立場に立つ人は、同じように保守的と呼ばれる他の見解も一緒に持っている場合が多いです。例えば、保守派は一般に体罰に寛容であることが多いです。このような複数の見解には、少なくとも一見して明らかな関係がありません。性別役割分担と体罰の間の関係性を適切に説明することは簡単ではありません。しかしながら(リベラルな価値観と同じく)全体として保守的な価値観には一貫性があり、だからこそ価値観はパッケージ化されている訳です。
簡単に言えば、このような価値観のパッケージ化は大局的整合性の一例であるため、定型の人がASDの人に抱く違和感と関係があるのです。定型の人からは、普段リベラルなのに突然に保守的な価値観を他人に対して主張するようにASDの人が見える場合があります。逆に普段は保守的なのに唐突にリベラルなことをASDの人が言い出すように定型が受け取ることもあります。
このような大局的な整合性の欠如は、定型の人から見ると非常に不自然に見えます。上で述べたように、様々な物の見方には自然なグルーピングがあり、そのような(明確に言語化されない)グルーピングにのっとっていない言動は(定型に)不信感を持たせます。というのも一貫していない人については何か意図があってやっていると思うことが定型の特性であるからです。ASDの物の見方のばらつきは、定型からそのような不信感を持って観察されがちです。何か意図があるのではないかと定型の人からASDの人が疑われる原因になるということです。
このように大局的整合性が欠落してしまう原因は、ASDが外部から規範を受け取りやすいことと関係があると思われます。ASDは定型に比べて、規範的な言明(「○○すべき」というタイプの言明)に対して動かされやすい傾向があります。世の中で○○すべきであるという言われていると、ASDの人は○○してしまうことが(比較的)多いと言えます。定型の場合は、自分がコミットしている規範に対しても素直に従わない場合が(比較的)多いです。そのため、保守的な規範を受け入れるのか、リベラルな規範を受け入れるのかということに応じて、定型の人よりもASDの人の方がはっきりと価値観を表現することになります。価値観を受け入れる際にも定型の場合は自分が既に持っている諸見解との関係で、大局的な整合性を保つことができるかどうかによって、新しい価値観を受け入れるのかどうか決めていると思われます。他方で、ASDの人の場合は、そのような大局的な整合性をチェックせずに価値観を受け入れているので、一つ一つの価値観がバラバラであるということになりがちです。このような違いが違和感の原因と思われます。つまり定型と比べて、ASDの人は外部の規範を受け入れてそれをストレートに表現しやすく、かつ価値観をパッケージではなくバラバラに受け入れているために、定型にとって違和感が起こりやすいという事情があるということです。
このようなASDの特性は、必ずしも悪いことではありません。規範一つ一つが見直しに開かれていることは、見解の修正可能性を高めます。頑固な人は、特定の価値を捨てるように説得されている時、その価値と他の価値との大局的な整合性に拘って、なかなか合理的な説得に応じないということがあります。ASDの人は比較的そのような欠点を免れていると言えるでしょう。
定型の人にとっては、ASDの人が大局的整合性を欠けて特定の価値観を主張していても、その表現された特定の価値的主張から逆に(存在しない)大局的整合性を作り上げないということが重要になります。つまり少し保守的なことを言っていても、トータルでは全然保守的でないということがASDの人にはありうるということです。それにもかかわらずそこには特に悪い意図が隠れていないかもしれないということです。そのような大局的整合性を読み取ることは定型のASDに対する態度を実際に影響してしまい、人間関係をも左右しかねないので、注意が必要になります。
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