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心理的ストレスを軽減するためには「コミュニケーション的依存性」を除去するべきである

コミュニケーションが難しくなっている相手とのコミュニケーションする際のコツは、相手へのコミュニケーション的依存を避けるということです。コミュニケーションが上手くいかない相手を回避することによって、問題が生じなくなるのは明らかです。しかし世の中には苦手な相手とのコミュニケーションを避けては通れない場合があります。そこで、やむを得ないコミュニケーションにおいて、どうやって自分(と相手)のストレスを軽減させられるか、という視点が重要になります。コミュニケーション的依存とはその点を明確にしていくための概念です。

 

そもそも私達がコミュニケーションを苦手とする相手との関係でストレスを感じるのは、コミュニケーションの最中に限られません。相手とコミュニケーションをしていない時でも、次に相手と話し合うときのことを考えて、非常に重い心理的ストレスを感じるということがあります。このようなストレスは、相手と次に会話する機会がある場合には避けようもなく思われますが、実はそうではありません。

 

コミュニケーションが上手くいっていない相手との会話を予期してストレスを感じるのは、相手の言動に予測可能性がないからです。もし予測可能性がないことだけでストレスが発生するのであれば、確かにそれは避けようがありません。しかしここには一つの前提があり、それは相手方の予測できない応答に対してさらに自分が適切に応答しなければならないということです。相手がどのように振る舞うのかが予測できないために、自分の再応答に関する不安が生じ、これがストレスの原因になっていると思われます。自分の再応答が相手の応答によらずに一定のものであるという見込みが立てば、ストレスは減少します。相手がどのように振る舞おうと自分はこのように振る舞うということが決まっていれば、思い悩む内容がなくなって自分とは無関係な事象として相手方の応答の予測不可能性を受け取ることができるからです。

 

相手の応答に依存して自分の再応答が決まるという関係性に立っている場合に、相手に対してコミュニケーション的依存があると言えます。ストレスはこのコミュニケーション的依存から発生しているのですから、自分が相手の応答に依存せずに再応答することを予測しておくことにより、コミュニケーション的依存度が減少し、結果としてストレスを感じにくくなるということになります。

 

するとどのようなスタンスにコミュニケーション的依存があるのかということが本当の問題だということになります。コミュニケーションが円滑な場合は、相手に対する依存があるということにあまり気付きません。心理的トラブルが生じて初めて依存を意識します。実はコミュニケーション的依存を含んでいるというスタンスは少なくありません。例えば交渉しようとするスタンスはコミュニケーション的依存を含んでいます。自分の再応答が相手方の応答にかなり依存しているからです。コミュニケーションが上手くいかない場合は、こういった隠れた依存を含んだスタンスを一つ一つ撤廃することによって心理的ストレスを減少させることができます。

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