C&C ひきこもりオンラインハンドブック
ひきこもり本人の話の聞き取りで生じる怒りへの対処法

ひきこもり問題についてご相談しに来られる依頼者のうちで多くの方には、ひきこもりご本人からの聞き取りをお願いすることになります。ひきこもっている状態でも家族と散発的なやり取り程度はしている場合がほとんどですし、ケースによっては家族と定期的にやり取りしている場合もあります。C&Cでは依頼者の方に、ご本人がどのような主張を展開されているのか聞き取るようにお願いしています。それがC&Cに判断の基礎資料になりますし、相手が依頼者の方とのやり取りを求めている場合は相手との関係性でもそれが望ましいからです。

しかしながら、ひきこもり本人とのやり取りには、家族の側で問題を生じさせることがあります。それは依頼者や他の家族の方が本人の話を聞くと怒りの感情が湧いてくるということです。怒ることから本人とご家族との間の衝突に至りますし、怒ること自体も人にストレスを生じさせますから問題です。C&Cが聞き取りの重要性を説くと、その必要性と本人に直面した場合に感じる怒りの感情との間で板挟みのような気持ちになってしまう方がいらっしゃいます。このような板挟み感が生じてしまう背後には、一つの誤解があると思われます。

その誤解とは、本人の話を聞くとは、本人の主張を受け入れることであるというものです。もちろん、話を聞くことは、話している人の主張を受け入れることはありません。ひきこもり本人が家族に対して主張していることは、大抵の場合は家族の側で到底受け入れられないような主張です。しかしそのような主張を受け入れることが求められている訳ではありません。単純に本人の主張している内容を知的に理解することが求められているのです。C&Cでお願いしているのも、本人の主張している内容を依頼者の方（またはC&C）が理解できるようになるためであり、本人の主張を受け入れるということではありません。

どうもこのような誤解が生じてしまうのは、受け入れるか拒絶するかの二択で会話してしまうという習慣から来ているようです。ひきこもり本人と対話する際に大事なのは、こういった二者択一の態度ではなく、単純に相手が話している内容を聞くということなのです。どんな怒りの感情でも矛盾を相手に見て取ることによって生じますが、相手に存在すると想定された矛盾はよくよく検討すると矛盾でなかったということが判明するものです。ですから相手に怒ったり避けたりするだけでなく、相手の話を精確に聞き取るということが、怒りに身を任せるよりもましな対応をするためには是非とも必要になります。こういった次第でC&Cは依頼者の方に聞き取りをお願いしております。

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