C&C ひきこもりオンラインハンドブック
内向的性格とASDの違い（２）　一人称パースペクティブの欠落か、多人数の集まりへの忌避感か

内向的性格と自閉スペクトラム症（以下ASD）を区別することが重要である旨を他の記事で指摘しています。内向的性格は、他人との積極的な付き合いを（比較的）苦手とするという点で、ASDと混同されやすい性格傾向です。この記事では内向的性格とASDにとっての人間関係についての苦手の微妙な違いについて解説します。

ASDの人が対人関係に苦手を抱えているということは知られていても、具体的にどのような状況で苦手が生じるのかということについて理解は稀なものです。ASDの人が苦手としているのは、一人称パースペクティヴに立つことです。裏返して言えばASDの人は（定型発達（以下定型）の人が主観的に捉えてしまうことでも）客観的に捉えるのみであるという傾向があります。もちろん客観的であることは公共的にはむしろ望ましい特徴ですが、個人的な関係においては共感の欠如として捉えられる他ない場合があります。つまり、ASDの人が苦手としているのは、他人との一対一の付き合いであると言えます。したがってASDの人は多人数の集まりをむしろ好むということもありえます。

他方で、内向的性格の人が苦手としているのは、パーティで数多くの人と交流するということです。あるいは、苦手としているというより、多くの人たちと盛り上がって話すことによってリラックスすることがないと言った方が適切かもしれません。内向的性格の人々はむしろ少人数で話すことを好み、特に一対一の関係で深く話すということを望みます。内向的性格の人と話していても、会話の相手が共感の欠如を感じることは特にありません。

このように内向的性格の人とASDの人が苦手としていることは異なっているということを理解することは重要です。外向的性格の人からすれば、どちらも対人関係に苦手があるタイプの人という整理になってしまいますが、上で論じたような明確な違いを等閑視してしまうと思わぬ判断の誤りにつながってしまいます。

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