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支援者が誤解してしまうことの典型例として、要支援者の主観に合致することが支援の目的として設定されるべきであるというものがあります。簡単に言えば、支援とは要支援者の望みを叶えることであるという支援理解がそれに当ります。これは通常の人間関係が他人の望みを叶えることを基本様式としていることから来る誤解であると思われます。支援関係においては、このような様式は適当ではありません。
もちろん、要支援者の主観が客観と合致していれば、要支援者の主観に合致しようとすることには問題がありません。やってはいけないことは、要支援者の主観が客観とずれている時に、ずれている主観の側に支援者が合わせようとしてしまうことです。これが適切ではないのは、そのようなコミットメントにおいて支援者自身が客観とずれてしまうからです。支援者は、あくまで客観的に事実であること、客観的に正しいことに忠実でなければなりません。
要支援者が支援者が提供する客観面と一致したサポートに対して同意しない場合もあります。その場合、支援者は(丁寧に説明して翻意を求めた上で)結局のところは支援を諦めなければならない場合もあります。それは支援を受け取るかどうかは、究極的には要支援者の自己決定によって左右されるべきものであるからです。そのような決裂を回避すべく、要支援者の主観に迎合する支援者が実際には存在しますが、それは客観面と(何らかの実質的な害悪を生じさせる仕方で)ずれている場合には、不適切なものと評価せざるを得ません。
支援提供が要支援者の主観と合致していること自体は望ましいことです。主観と合致していない支援提供を受けることは、要支援者にとって少なくとも心理的負担となり、それ自体が独立のデメリットであるからです。しかし、あくまで標準は客観面に置かれなければなりません。相手の自己決定を尊重するという基本原則の下では、客観面から可能な支援提供を突き詰め、それに対する相手の同意不同意を確定するという二段階が不可欠であり、その二段階を曖昧にすることは、客観的に適切でない支援提供を帰結してしまう恐れがあると言えます。
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