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ひきこもりオンラインハンドブック
支援範囲の確定とその難しさ

コミュニケーションにまつわる困難を支援するには、その範囲を確定する
ことにもコミュニケーションの問題が関わってきます

自閉スペクトラム症(以下ASD)の人に対する支援に関して重要になるのは、支援範囲(どの点でどこまで支援すべきなのか)を厳密に確定することです。というのも、コミュニケーションに関係している障害であるASDの場合、支援の範囲が際限のないものになってしまい、支援がみだりに全面化することで支援者の側が疲弊していくという現象があるからです。

比較のために、身体障害の場合を考えてみましょう。身体障害者に対する支援の場合、支援の範囲は比較的明確です。例えば同僚が視覚障害者である場合、例えば通り道の黄色い視覚障害者誘導用ブロックが障害物で塞がっているときに、その障害物を直接取り除いたり、視覚障害者にその障害物のことを知らせたりすることは、障害者に対する支援として当然期待されていることです。しかしながら、視覚障害者であるからといって、周囲の人がその人の仕事を全部肩代わりすることは普通ありません。

他方で、ASDの場合、支援の範囲が何であるかということが不明確になり、結果として支援が全面化してしまう、つまり何もかも肩代わりしなければならないかのように当事者や周囲の人に捉えられてしまう、というケースがあります。しかしながら何もかも他人が肩代わりするということは、ほとんど可能でない上に(たとえ可能であるとしても)状況を客観的に観察すると必要でも適切でもないことが多く、結果として関係者全員にとって問題を生じさせます。

なぜ支援が全面化していまうのでしょうか。それは、支援の範囲をどのように確定すべきかが、当事者のコミュニケーションに依存している部分が大きいからです。身体障害者の場合は、コミュニケーション自体については障害が存在しませんから、本人との対話を通じて支援を適切な範囲に設定することが比較的用意です。ASDの場合は、障害自体がコミュニケーションに関わっているので、そもそもコミュニケーションが困難であり、したがってコミュニケーションによって支援の範囲を確定することが困難になります。

支援範囲を確定するコミュニケーションが失敗するプロセスは様々です。周囲が当事者の意向を適切に確認しようとしない場合もありますし、ASDの当事者の方が支援を全面化することを周囲の人に要求する場合もあります。いずれにせよ、支援の範囲を客観的に確定することが重要です。軽々しく支援の範囲を拡張してしまうと、負担が増大して支援者が疲弊したり、当事者を外部との交渉から切り離してしまい、かえって当事者が適切な支援を受ける機会を奪ってしまうからです。

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