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便箋しか読まない人、封筒まで読む人——自閉スペクトラム症の人と定型発達の人の関わり方の違い

便箋と封筒の比喩でコミュニケーション・スタイルの違いを理解しましょう

身近な人とコミュニケーションに難しさを感じて精神科を自分が受診したとき、または身近な人(ご家族など)に受診してもらったとき、ご自身やご家族が「自閉スペクトラム症(ASD)」と医師に診断されることがあります。

比較的最近、自閉スペクトラム症(以下ではASDと呼びます)に関する情報発信が増え、この診断名をお聞きになった方も多いのではないでしょうか。しかし、実際にご自身がASDと診断された場合、あるいはご家族がASDと診断された場合に、医師のその診断に基づいて今後のご自身またはご家族の生活をどのように組み立てていけばよいのか、ということについての知見はまだまだ不足していると思われます。

そこでこの記事では、ASDと診断された方(以下ではASDと呼びます)とASDと診断されたことのない方(以下では定型発達と呼びます)の付き合い方のヒントを具体的に考えたいと思います。

あなたやあなたの家族が突然ASDだと診断されたとき、どう思われましたか? もしかすると突然一つの診断名と直面することで混乱されているかもしれません。あるいは今までのコミュニケーションにまつわる難しさがその診断名によって説明される気がして腑に落ちた気持ちになるかもしれません。いずれにせよ、今後の生活に医師の診断を上手に活用していくことが重要です。

どうやってその医学的な情報を生活の改善に結び付ければよいのでしょうか?まず、ASDと定型発達の間でコミュニケーションの失敗が一般的にどのように生じるのか、ということを理解しましょう。というのも、コミュニケーションの失敗する地点がどこにあるのかとうことが分かれば、同じような失敗を繰り返さずに円滑なコミュニケーションを図ることが(今後は)できるようになる、と期待できるからです。

では、ASDと定型発達のコミュニケーションについて分析していきましょう。理解を容易にするため、一つの例を用いたいと思います。最近は手紙を書くことも減りましたが、他の人と手紙でやり取りするということを想像してください。手紙を書くときは、便箋と封筒を用意します。相手に伝えたいメッセージを便箋の上に書く。便箋を封筒にしまう。封筒に宛先などを書く。郵便ポストに投函する。相手の郵便箱に手紙が届く。相手が封筒を開ける。相手が便箋の上のメッセージを読む。大体このようにして他の人にメッセージを伝える訳です。

ここで考えていただきたいのは、他の人に送っている情報はどこに書かれているのか? ということです。確かに、便箋の上にはあなたが相手に伝えたいと思ったメッセージが書かれています。でも、相手に伝わる情報は便箋の上に書かれたメッセージだけではない、ということにもすぐに気がつくと思います。例えば、相手の宛先を非常に丁寧に書くと、あなたが綺麗な文字を書く人であるという情報が相手に伝わります。あるいは切手の消印によってあなたが手紙を投函した日時の(大まかな)情報も相手に伝わります。これらの情報(便箋の上のメッセージ以外の情報)を封筒情報と呼びましょう。ポイントは、封筒情報をメッセージ伝達手段としても利用することが可能である、ということです。例えば、あなたが特別に上等で美しい封筒で手紙を送る、とします。このような美しい封筒に入ったを受け取った人は、手紙を送る人が手紙を受け取る人を重要視していると思うでしょう。「あの人は普通の封筒に入れて手紙を送ることもできたのに、あえて美しい封筒に入れて手紙を私に送り、私を喜ばせてくれるのだから、私のことを比較的重要視しているのだろう」と思うでしょう。ここで行われているのは、行為の外形から相手の意図を推測するということです。手紙を受け取った人は、手紙を送る人がたまたま美しい封筒を使ったのではなく意図的にその封筒を選んだと思う(可能性が高い)でしょう。

真逆の例もあります。あなたが汚い封筒で手紙を送ると、受け取った人は軽視されていると思うでしょう。あえて汚い封筒に入れて手紙を送ってきたと思うだろうからです。こういったことを全て知っているあなたは、封筒を選ぶときによく気をつけるでしょう。相手が大事な相手であれば、あなたはその人に「この人はこれだけ自分のことを大事に思ってくれているのだな」と思ってもらえるように、封筒を選ぶように意図するでしょう(たとえ本当は大事でなくても、そう思ってもらった方が得だと思うならそれに見合った封筒の選び方をすることでしょう)。このような事実を指して、人は(便箋だけでなく)封筒によってもメッセージを伝達していると言うことができると思われます。

ここまで、手紙をやり取りする人双方が封筒情報をもメッセージ伝達手段として利用するということを想定していました。しかし、このような構造は、メッセージの伝達を阻害させることにも繋がるということは明らかです。例えば、不注意な人が封筒の汚さに気が付かず、相手方を怒らせてしまう、ということがあると思われます。受け手の怒りは封筒が汚いということそのものに向けられているのではなく、汚い封筒でメッセージを送ってくるということは「あなたを軽視しています」というメッセージを送ってきたものと判断し、そうした送り手の態度に怒りが向けられています。しかし不注意な送り手は、そのようなメッセージを送ることを意図していたのではなく、単にそのような情報伝達が生じるということに気付いていなかったに過ぎません。送り手は特定の封筒情報に気付いていなかったのです。だからこのようなケースでは受け手の怒りには誤解が含まれていると言えます。双方にとって不幸なことになってしまいました。

やはり逆の場合もあります。せっかく美しい封筒に入れて手紙を送ってもらったとしても、受け取った人がせっかちで封筒を急いで破ってしまえば、受け取った人は美しい封筒に託された送り手のメッセージを受け取り損ねます。

さて、このような手紙の例がどのようにASDと定型発達のコミュニケーションを理解するために役立つのでしょうか?  ASDは、上の例に出てくる不注意な人に似ています。ただし、ASDはたまたま不注意なのではなく、およそ封筒情報がメッセージ伝達手段になりうるということに気付いていないことが多い人なのです。もし手紙の例で、情報のやり取りが便箋に書かれたメッセージだけでなく、封筒情報によっても行われているということを全く知らない人が、封筒情報によってメッセージをやり取りするということを当然視している(かつ全ての人がそのようにメッセージをやり取りするものだと強く信じている)人達の間で手紙のやり取りをするとどうなるでしょうか? コミュニケーションが失敗し続けるということは全く明らかであると思われます。どうにかして、メッセージの伝達手段に使われている手段に関する不一致について双方が理解するしかありません。

ASDの人と定型発達のコミュニケーションの場合も同じです。ASDの人は、自分の行為の外形から相手(定型発達者)が自分の意図を推測しているということに(部分的には)気付いていませんし、定型発達者は、自分の行為の外形から相手(ASDの人)が自分の意図を推測していないということに(部分的には)気付いていません。こうしたすれ違いはどちらかに悪意があるからという問題ではなく、前提となる認識の違い、いわば文化の違いに由来するものなのです。

したがって、どちらかが、できれば両方が、自分と相手がコミュニケーションの手段として利用している範囲がそもそも異なっているということに気付く必要があります。つまり、ASDの人は便箋だけで情報をやり取りしており、定型発達者は便箋と封筒で情報をやり取りしている、ということに気付く必要があります。定型発達が封筒に書いたメッセージはASDに読まれず、ASDが送ることを意図していない情報が封筒に書かれていると、定型発達はそれを意図的なメッセージとして受け取り、ASDを誤解します。

そうだとすれば、コミュニケーションの改善は原則として次のように行うしかありません。定型発達は、封筒にメッセージを書かずに、メッセージの伝達は全て便箋に書くように気を付け、ASDから出された情報は封筒ではなく便箋に書かれているものだけをメッセージとして受け取る。ASDの側では定型発達がメッセージとして受け取りかねない封筒情報を発信しないように気を付け、定型発達が類型的にメッセージとして位置付けている封筒情報について学習する。このように双方からメッセージの送受信に使う手段について調整していけば、不毛な衝突を避けることができます。

以上のようなコミュニケーションの失敗の原因分析を聞いても、具体的に生活の中で何を変えていけば分からない、とおっしゃる方がいらっしゃるかもしれません。当相談室では個別のケースにおいてどのようにメッセージ伝達手段について調整するか(便箋情報と封筒情報を区別していくか)についてコンサルティングを行なっています。個別のケースでの対応についてはぜひ当相談室にご連絡ください。できる限り具体的に個別の対応方法についてのアドバイスを差し上げます。

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