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違和感は消えなくても(自閉スペクトラム症の人と定型発達の人との付き合い方⑫)

自分と違う人への違和感が消えなくても、関係の維持・改善は可能です

自閉スペクトラム症(以下ASD)の人と定型発達(以下定型)の人の付き合い方について色々な記事で解説してきました。主に定型の側が対応を工夫することによって、ASDの人と定型の人のミスコミュニケーションを軽減することができます。これについて、もしかすると疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。「定型の側が最大限上手い対応の仕方をすれば、ASDの人との間でまったく違和感が生じなくなるのか?」という疑問です。この記事では定型の側がASDの人への対応を極めていくと何が可能になるのか(そして何は可能にはならないのか)ということを、解説します。

結論から申し上げると、残念なことに、定型の人の側でASDの人に対する違和感を感じなくなるということはないと思われます。定型の人はASDの人にいつまでも慣れることができないということがほぼ間違いのないことだと思われます。何十年一緒に暮らしていても、ASDの人に慣れることができないという感想を持つ定型の人がほとんどです。このような事情は、ASDの人が持っておらず定型の人が持っているようなメカニズムが定型の人々にとっては非常に根本的であるためと思われます。

もしかすると、このようなニュースは、ASDの人と一緒に暮らしている定型の人にとってショッキングなニュースに聞こえるかもしれません。そして、もしずっと慣れることができないのであれば、どうしてASDの人との付き合い方を習得する意味があるのか、疑問に思われるかもしれません。答えとして言えるのは、ASDの人との付き合い方を学ぶ意味は、ASDの人に慣れることにあるのではなく、ASDの人に対して定型の人が典型的に違和感を抱くような場面をシステマティックに避けることにあるということです。つまり、ASDの人と定型の人との間のミスコミュニケーションには一定のパターン、一定の構造が存在するため、どのようなやり取りであれば問題(定型に生じる心理的な問題も含めて)が起きないのかということについて、ある程度の予想を立てることができます。ASDの人と定型の人との付き合い方で大事なのは、定型の人が自分の心を悩ますようなやり取りをASDの人との間で持つことを避けられる程度に、定型の人がASDの人のことを理解することです。ASDの側でも定型との間にミスコミュニケーションが生じれば、そのいわば反作用として定型の側から攻撃されかねませんので、このような定型の人の学習からメリットを享受することができます。

ASDの人に定型の人が慣れることができないからといって、ASDの人と定型の人が一緒に暮らしていくことが不可能になる訳ではありません。確かに定型の人が望む一定の相互作用についてはASDの人に期待できない場合があります。例えば定型の人同士で慣れている種類の会話をすることはASDの人との間では期待できない場合もあります。しかし、ASDの人と定型の人が衝突することなく暮らしていくといった、より野心的でない目標は、定型の人の側の努力次第で叶えることができます。以上のように、ASDと定型との関係を考える際は、何が可能で何が不可能なのかを良く見極めて関係改善に取り組んでいくということが重要になっています。

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